旅行業 歴史

旅行業の歴史

一番最初に旅行業を営利目的の事業としてスタートさせたのは、イギリス人のトーマス・クックだと言われています。

 

今の旅行業とは比べられませんが、1841年に458人の禁酒運動のメンバーを集め、貸切の列車で18キロ離れた町へ向かわせた団体旅行が始まりだという記録が残っています。

 

一方日本の旅行の始まりは、平安時代までさかのぼります。京都や奈良から、信仰の場とされていた熊野三山へ詣でる旅がおこなわれていました。

 

江戸時代には、伊勢神宮の神官がお参りにくる庶民の案内をして、添乗員のように宿や食事の手配までしたという記録が残っています。

 

しかし、この時代の日本にはまだ「旅」を商売(事業)として扱う商人は存在しませんでした。

 

日本における本格的な旅行業の歴史

 

日本における本格的な旅行業の歴史は、1893年に日本を訪れる外国人をもてなすことから始まりました。明治政府が欧米列強に同意する政策の一環であったのでしょう。

 

その後、1905年に現在の滋賀県草津市に住む南新助という男が、当時の国鉄にお世話になっているお礼に、団体による善光寺参りを企画し、草津〜江ノ島〜東京〜日光〜善光寺〜草津へのお参りを実施しました。

 

南新助はこの経験を機に同年、日本旅行の前身にあたる旅行会社を日本で初めて設立しました。続いてJTBの前身であるジャパン・ツーリスト・ビューロが1912年に設立され、日本を訪れた外国人の案内役を主におこないました。

 

その後、国内の旅行会社は少しずつ増えていきましたが、国民の海外旅行が自由化された1964年においても旅行業者はまだ50社ほどで、広く市民に浸透するまではもう少し時間がかかったようです。

 

 

旅行が大衆化へ

1964年は、東京〜新大阪間に東海道新幹線が開通、東京オリンピックも開催され、多くの外国人観光客が日本へやってきました。この年に訪れた外国人旅行客の数は、35万人を超えました。

 

また日本においても海外渡航が自由化され、海外へ出国した数は12万7千人、このうち観光を目的とした旅行者は2万3千人にまでのぼりました。この時代、海外旅行はまだ一部の富裕層のみが許される贅沢なものでしたが、旅行会社の「旅行商品」の開発は、この年以降大きく発展していきます。

 

1965年に旅行開発社(現ジャルパック)がジャルパック(現アイル)の販売を開始しました。その3年後には、日本交通公社と日本通運が共同で「ルック」の販売、翌年には郵船航空サービス(現郵船トラベル)のダイアモンドツアー、71年には日本旅行のマッハといったように、次々と旅行商品が開発されていきました。

 

ちょうどその頃、アメリカのボーイング社が約3000人乗りの「ジャンボジェット」を就航させ、海外旅行をさらに一般市民の手の届く存在へと近づけました。

 

旅行会社はそれまでの斡旋するだけの受け身の姿勢から、旅行商品を大々的に宣伝して販売するといった、市場拡大の時代に突入していくのです。

 

また国鉄(現JR)が、1970年の大阪万博で国鉄を利用したお客さんが、それ以降も継続して利用するようにと展開した「ディスカージャパン」のキャンペーンは、国内旅行の大衆化をさらに加速させていきました。

 

「いい日旅立ち」という第2回「ディスカージャパン」キャンペーンの大ヒットが、国民生活の一部にまで旅行を溶けこませたといっても過言ではないでしょう。